2023年7月3日、中国の商務部と税関は8月1日より「輸出管理法」と「対外貿易法」に基づいてガリウムとゲルマニウム、およびそれぞれの化合物の輸出に対して新たに規制を導入することを発表した。発表によると、関連法に従い、国家の安全と利益を守るため、国務院はガリウムおよびゲルマニウム関連品目の輸出規制を行うことを決定した。
ゲルマニウムにおいては中国のシェアは圧倒的というほどでもない。ゲルマニウムの埋蔵量はアメリカが世界で最も多くて45%を占め、中国は41%である。過去十年の生産量では中国が世界の68.5%を占めたというが、アメリカは自国資源を保全するため採掘をやめたそうである。アメリカは古い軍用品からゲルマニウムをリサイクルし、それを赤外線カメラや熱センサーなどの軍需品に再利用している。
一方、中国が世界生産の98%を占めるガリウムについては中国が輸出を絞ることで国際価格を引き上げる程度のことはできるかもしれない。実は、中国以外にも多くの国がガリウムの生産能力を持っているのだが、中国から安く輸入できるためあまり生産していないのだ。
2021年の日本のガリウム生産量は3トンで、中国からの輸入量は19.5トンだったと推計される(注3)ので、もし国内の生産能力(10トン)をフルに稼働させれば、仮に中国からの輸入が3割以上減らされても国内の供給量を減らさずに済む。